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   【会員の皆様におすすめの一冊】

  先日、後藤和民先生の著書「縄文土器をつくる」(中央公論社 1980年刊)を読みました。日本の縄文研究の歴史や土器製作技法の解説が詳しく書かれていました。さらに加曽利貝塚博物館の誕生から、後藤先生と新井司郎先生の出会い、土器づくり研究の様子、土器づくり同好会発足の経緯まで書かれていて、そのドラマチックな内容に胸が熱くなりました。研究熱心で志の高い先輩達によって脈々と受け継がれてきた土器づくりの知識と技術を、これからもしっかりと伝えていけるよう、たくさんの事を学びたいとあらためて思いました。まだお読みでない方に、ぜひともおすすめしたい一冊です!

[by Jersey]

   【赤土に含まれる鉱物】

  千葉県の土器の土には、一体どんな鉱物がが含まれているのだろう。皆さんは疑問に思ったことは有りませんか?

 先日、千葉県立中央博物館の『赤土の鉱物観察』の地学講座があり、参加してきました。

 赤土、即ち関東ローム層は、多くは富士山から飛んできた火山灰ですが、火山灰が降り積もった後に風雨により再堆積したり、大陸起源の風成塵も意外に多く混入しています。関東ローム層は主に千葉県では下総地方に分布しています。

 

●作業内容としては

 “青葉の森”の近くで採取した赤土の粘土分を取り除くため、1時間近く掛けて鉱物結晶を洗い出す作業をしました。そして、残った成分を乾燥し、鉱物結晶を顕微鏡で観察しました。

 私の採取した赤土に含まれた鉱物結晶は、かんらん石、斜方輝石、単斜輝石、黒雲母(ひる石)、斜長石、高温型石英、磁鉄鉱、チタン鉄鉱、火山ガラスが含まれていました。(採取場所によって鉱物の含有量や種類も違ってきます。)

 皆さんで、それぞれの鉱物の特徴を調べてみると新たな目で土器を見つめ直すことができますね。

 こんなミクロの世界でも沢山の鉱物が含まれており、キラキラ光る美しい鉱物結晶も見つけることができました。これらが地球をつくっている有機物の一部だと考えると宇宙の壮大さにあらためて感動しました。

 皆さんも一度、『土』の鉱物観察をしてみると新しい発見があって面白いですよ。

[by Dora.T]

  【縄文時代は凄いんだよ!】
       地球の歴史を1年間で表したカレンダーを作って見ると、46億年前の地球誕生を1月1日とします。12月の29日にようやく類人猿の祖先が登場し、12月31日の午後11時37分に現世人類ホモサピエンスが誕生となります。そして、午後11時59分59秒に20世紀が始まり、終わると調べられました。となると、たった23分間が現在までの人間の歴史となります。

では、日本ではどうでしょうか。
 日本列島に人類が住み着いたといわれる、今から35000年前から現在までを一日24時間で計算してみました。
 縄文時代の始まりを今から16000年前に設定すると、
 ・人類が住み着く…....午前12時00分
 ・縄文時代の始まり…午後1時01分
 ・縄文時代の終わり…午後10時38分
 ・古代(弥生時代)から現代まで1時間22分
となりました。(誤差が少々ありますがご容赦下さい)
 縄文時代は9時間37分間です。凄いですね。いかに縄文時代が長く、平和な時間が続いたか驚きです。
 この様に検証してみると、いろんな発見があって面白いですね。
[by Dora.T]

  【土器に適した粘土配合】
  縄文土器を見てみますと、時代・形式・地域によって粘土の配合、混入物が違います。
縄文土器全部が混じりけのない粘土と砂とをしっかり混合している訳でなく、シルトも入っていれば、赤土も黒土も入っています。

自然の混合物の入った粘土成分をそのまま使っていた可能性もあります。

私たち同好会が作る粘土は自然界から採取した粘土から、目で見える不純物を取り除き、山砂と混ぜて作っています。粘土と砂の割合は、混合する粘土によって変えています。

粘土は千葉県の4~5箇所の地域で採取して、それぞれの粘土の特性を生かして、制作する土器の時代にあった粘土を作っています。

シルトを入れたり、黒土を入れたり、早期の土器には繊維を入れたり、阿玉台の土器には雲母を入れたりして、できるだけ本物の土器に近づく努力をしています。

しかし千葉県の粘土は、殆ど関東ローム層で構成されており、鉄分の入った粘土が多いです。南房総の方に行けば、まだ鉄分の少ない粘土があるようですが採取には至っておりません。鉄分の少ない東北の土器を制作する時は土器の色に似せるため、陶土を混ぜたり、焼成方法に工夫をこらす事もあります。
[by Dora.T]

  【粘土はみな同じではない】
    粘土に一次粘土、二次粘土があるのを知っている?
粘土は岩石が風化して土と混ざって永い時間を掛けてできます。

不純物が多いか少ないかで、できる過程が違います。
●一次粘土(残留粘土=ざんりゅう粘土)
 粒が粗く可塑性に乏しいが不純物が少なく珪酸に富んでいる。ほぼ白色。
 磁器に使われる。
●二次粘土(漂石粘土=ひょうせき粘土)
 粒が細かく可塑性に富んでいる。有機物を多く含んでいるので有色である。
 陶器に使われる。
●蛙目粘土(がいろめ粘土・がえろめ粘土)
 一次粘土と二次粘土の中間で、含まれる成分によって変わってきますが一次

 粘土に近いです。だいたい灰色をしています。

粘土は取れる産地よって色も性質も違います。
その土地の粘土でその土地の縄文土器を作れればより近い本物のレプリカが作れますね。

[by Dora.T]

  縄文土器づくりの行程で一番大事なのは良い粘土を作ること、

  二番目に焼成、三番目に成形の順と言われています。

第一回目は、一番大切な粘土についてです。

 

【粘土とは】

粘土は簡単に言うと粘りけのある土ですが、形成している土粒子の大きさによって区別することができます。

土壌学では、

●粘土…粒径 0.005ミリ以下の粒子

●シルト…粒径 0.074~0.005ミリの粒子

●砂…粒径 2~0.074ミリの粒子

●レキ…粒径 2ミリ以上の粒子

と分けられますが、粘土とシルトは似ているので肉眼では判断するのが難しいです。

ちょっとした見分け方は、粘土は指につまんで潰してみて水につけるとベットリ、ネットリしてますが、シルトはツルツルしています。

よい粘土を見つけることで水漏れの少ない縄文土器を作ることに繋がります。

[by Dora.T]

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